バレエイベントレポート

NEW 2025.6.23 更新

Balletweek イベント取材REPORT

~みらいのバレエ界を担う小中学生を応援する~

『第2回 バレエみらいシート』


 

 バレエイベント

~バレエダンサー本島美和さんが

未来のバレリーナに伝えたいこと~

『第2回 バレエみらいシート』

 

2025.6.21

@新国立劇場

 

 

 株式会社オンワードホールディングスとチャコット株式会社が、公益財団法人新国立劇場運営財団と協働し、みらいのバレエ界を担う小中学生のためのバレエイベントを6月21日(土)に新国立劇場で開催しました。元新国立劇場バレエ団プリンシパルで、現在新国立劇場バレエ研修所のアクティング・ディレクターを務める本島美和さんからバレエの表現のテクニックを直接学べ、その後新国立劇場にてバレエ『不思議の国のアリス』を鑑賞できるという、バレエ好きの子供たちにはたまならないとても贅沢なイベントでした。

 

参加者は小中学生の子供達とその保護者。子供達は「将来の夢」「本島さんに聞いてみたいこと」などをお手紙にして本島さんに送り、応募者の中から7名×2回(昼の部、夜の部)計14名の参加者が本島さんにより選ばれました。

 

 

 

 

 

◆◆◆ 本島さんとのワークショップ ◆◆◆

当日はまず、リハーサル室にて本島さんによるワークショップからスタートしました。今回はバレエ公演で使う「マイム(台詞の代わりに身振り手振りで表現するジェスチャーのこと)」がテーマ。本島さんにこのテーマを選んだ理由をお伺いしたところ、「最近はコンクールなども盛んで参加する子供たちも増えましたが、コンクールは一人で踊ることは上手になりますが、全幕作品に触れる機会が少なくなっていると感じでいます。全幕作品では振付以外にも大事な表現がたくさんあり、そういうものに今回気づいてもらい、味わってもらいたいと思い、このテーマにしました。」と企画に対する熱い思いを語ってくださいました。

 

 

ワークショップでは、まずマイムにはどのような動きでどのようなものがあるかというお話から始まり、舞台の映像を見ながら今回学ぶシーンを取り出し、本島さんがなぜこのような動きをしているのか、なぜ目線はここを向いていたのか、など細かくそのストーリーの状況と登場人物の心情を子供たちに説明してくださり、その動きをする意味を伝えてくださいました。その後実際にピアノの生演奏とともに、マイムを子供たちに振り写し、みんなで練習しました。

ワークショップの中で本島さんは、「演じる時に必要なものに、テキスト(=台本、台詞という意味)に対して、サブテキストというものがあります。サブテキストとは、その台詞には書いていない心の中のこと。台詞では言っていないけれど伝えたいことです。バレエには台詞がありませんが、同じようにマイムとしての振付以外にも、目線やちょっとした身体の角度でそれを実は伝えているというサブテキストがあるのです」と、台詞にはない心の動きの表現の仕方を子供たちに教えてくださいました。そして、周りに誰がいるのか、どういう状況なのかということまでを全幕作品を創り上げる上で考えられ、周り全体が見えるようなダンサーになってほしいという本島さんの思いを子供たちに伝え、レッスンは終了しました。

 

本島さんにワークショップの感想をお伺いしたところ、

「グループ分けをして3回ほど曲でやりましたが、みんなどんどん上手になってくれていました。もっと直してあげられるところもあったので、時間が許せばあと30分くらい続けたかったくらいです(笑)!

レッスン後に、そのまま全幕作品の舞台をすぐに鑑賞できるのもなかなかない機会ですよね。

 

舞台を観て、後ほどマイムについての感想を言ってくれたらうれしいですね。舞台の見方も変わってくれたらいいなと願っています!」とお話してくださいました。

 

◆◆◆ 幕間にて・・・本島さんとのティータイムと個別写真撮影会 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

ただマイムを教えるだけならば、雑誌などにもいくらでも載っている。どういう心情をつたえるか、台詞にないマイムにない部分をダンサーは目線などで伝えている

 

 

 

 

お手紙、印象深い?全部すごい面白い !!

いろいろな悩みが書いてあり、笑いながら読んでいた。年齢層が上がれば上がるほど現実的。現実が見えてくるとそこが印象的だった。真っ直ぐ夢を追える環境をつくってあげたいし、それができないのは大人の責任でもあるのかなと考えさせられた。

 

裾野尾を広げていかないといけないと思っている。。。

考えて企画してきたことにたいし、子供たちの成長も実際にみれて楽しかった。これからもいろいろとやっていきたい。

 

 サブテキスト

自分の研修所時代に演劇の先生から授業で教わった言葉。スタニスラフスキーの9の筆問をやりたかった。キャラクターを掘り下げる。私はだれか、ここどこか、本当にやりたいことは何か、リラの精とは何ぞや 掘り下げる

 

時間なかったので、サブテキストに絞って

やりたいことはもりもりだった。

それはばれ団に入ってからも自分の中で生かしてやっていた。

一つ一つ考えていくと、不自然さを取り払う。キャラクターの強い役も多く経験している。プリンしパるをやったからこそ周りがこうだと助かる。コールドもやってキャラくてーるもやって

舞台全体を見られるようになってきた。

 

 

 

 

 大学からクラシックバレエを初めてここまでできることがとてもすごい‼、抜群の運動神経、吸収も早く、素直にアドバイスを受け入れている。本当にまっすぐのマニーシュ、というのが近藤さんのマニーシュに対する印象!

 

 恵まれた環境とは言い難いムンバイから、インドの方々が他国に留学するのはとても難しいことであることにも、映画を見ることで改めて気づかされたという。環境も含めて生々しく映し出されているところが、このドキュメンタリー映画のパワーでもあるとのことです。映画では、屋上でバレエを練習していたり、私たちが普段考えるきれいに整ったバレエスタジオとは全く違う環境でも努力をし続けるところに胸がとても熱くなったと語ってくれました。その他グッときたシーンとして忘れられないところは、「マニーシュのおばあさんが彼の進みたい道について、『本当にやりたいことをおやり』と言ったところ。インドでは現在もなかなか認められにくい男性ダンサーという職業に、おばあさん世代の人がそういう言葉を発するという孫への愛情にグッときたましたね。お母さんがバレエシューズを縫っているシーンも、本当によかったです!」と、映画のシーンを思い出しながら語ってくださいました。

 

また、近藤さんのダンサーならではの視点でのコメントとして、「マニーシュは年齢的なこともあり、クラシックバレエのカンパニー入団より、コンテンポラリーダンスのカンパニーを勧められたが、クラシックバレエを目指す人とコンテンポラリーダンスを目指す人は大きな違いがある。基本的なポジションに決まりのあるクラシックバレエに比べ、コンテンポラリーはそれを破り、全く違うことを要求されたりもしますから。もちろんバレエで培った経験はとてもプラスになりますが、それを変えていくことはとても勇気がいることだと思うし、求められることが違うので、もちろん葛藤もあったと思います。そして重要なことは、映画を超えてマニーシュは今なお人生が続いているし、そこが重要であり、かっこいいことですよね。」と、成長し続けている今後のマニーシュのダンサーとしての活動を楽しみに、マニーシュに激励をおくっていたことろが印象的でした。

 

 

近藤さんは、ただ今Noismの公演の振付中!

作品を彩の国さいたま芸術劇場にて2月に公演をしますので、是非見に来てください!とのことでした。

Noism公演についてはこちら☞

 

 

映画の情報についてはこちら☞

映画の主人公マニーシュのインタビューについてはこちら☞

劇場情報についてはこちら☞

※記事の文章及び写真を無断で使用することを禁じます。


◆プロフィール◆ 

新国立劇場バレエ研修所 アクティング・ディレクター

新国立劇場バレエ団 プリンシパル

本島 美和 (Miwa Motojima)

 

東京都出身。

牧阿佐美、三谷恭三、豊川美惠子、ゆうきみほに師事する。

豊川美恵子エコール・ド・バレエ、橘バレヱ学校を経て2000年牧阿佐美バレヱ団に入団、01年に新国立劇場バレエ研修所に第1期生として入所し、03年新国立劇場バレエ団にソリストとして入団。

05年の新制作『カルメン』で初めて主役に抜擢され、『ドン·キホーテ』『ジゼル』『くるみ割り人形』、ビントレー『アラジン』、プティ『こうもり』などで数多くの主役を務め、古典から新作まで幅広いレパートリーを持つ。また、『眠れる森の美女』カラボス、『不思議の国のアリス』ハートの女王など、キャラクターの強い役柄も定評がある。出演したCMでの演技力が評価され、ACC CMフェスティバルの演技賞を受賞。

11年プリンシパルに昇格。

06年橘秋子賞スワン新人賞を受賞。

22年6月新国立劇場バレエ団を退団。

同年9月新国立劇場バレエ研修所主任講師補に就任。

24年4月同所長補佐兼主任講師に就任。

25年4月同アクティング・ディレクター(所長代行)に就任。