バレエ公演レポート

NEW 2026.7.3 更新

~感動の舞台~

ダンス公演 ゲネプロ取材REPORT


 

ダンスカンパニーDAZZLE

結成30周年記念公演

花ト囮ー露ー

(はなとおとりーあらわー)

 

『狐の嫁入り』を見てしまった兄弟の絆と運命をめぐる物語

 

2026.7.2(木)

@あうるすぽっと

 

 

 ダンスカンパニーDAZZLE(ダズル)が結成30周年を記念し、7月2日(木)~12日(日)まで、あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて『花ト囮(はなとおとり)-露(あらわ)-』を上演。この作品は初演が2009年で、その後何度も再構築され、上演され続けててきたDAZZLEの代表作である。DAZZLEはストリートダンスとコンテンポラリーダンスを掛け合わせたような、独創性あるダンススタイルで人気だ。2026年の『花ト囮』ももちろんそのスタイルを踏襲しながらも、さらにブラッシュアップされた演出で幕を開けた。

 この作品の特徴は単なるダンスステージではない。ダンスを表現手段として、台詞や音楽に合わせて物語を紡いでいく。ダンスステージというより、もはや演劇か、または文学なのか、と思えるようなジャンルの垣根を飛び越えてさまざまなスタイルを融合して作り上げられた一つの舞台のようにも感じる。謎が多い物語の設定にも、ダンスのかっこよさにも、そして細部まで考えつくされたダンスや舞台の演出やハッとする舞台転換にも、とにかく最初から最後までずっとゾクゾクするような舞台だったというのが第一の感想である。五感と心が揺さぶられ、来たことがない世界に迷い混んでしまったような、そんな感覚で舞台にのめり込んでしまう。

 

この『花ト囮』の物語は~

 

 

 

 

それぞれのダンスナンバーで使われる小物すごい

 

 

文字で綴る視覚的なものと音、動き

 

バランスが絶妙すぎる

 

 

気になる兄弟の行く末は・・・

 

 

 

 

 

 第1幕は「ルネッサンス期のドイツ、ザクセン公爵の狩猟保護区」でのシーンだ。素朴でありながら、温かみがあるような色使いで表現された村のシーンの舞台美術には細部までこだわりが見られ、ダンサーが出てくる前から、その世界に引き込まれるような仕上がりだ。ジゼル加治屋の登場は、かわいらしい表情に溢れ、元気いっぱいに踊るシーンは、喜びとはにかみいっぱいの少女の姿を客席に披露した。台詞のないバレエだが、表情が大変豊かで、ジゼルの心の中のささやきまでも客席に伝わるような演技が印象深かった。アルブレヒト役はプリンシパルのコナー・ウォルシュ(Connor Walsh)で、貴族の品格を持ち合わせながら、ジゼルとの愛を感じるパ・ド・ドゥや、躍動感ある踊りが観客を魅了した。

 

また、第1幕を彩る華やかなシーンのワルツでは、多くのヒューストン・バレエのダンサーを観ることができ、非常に楽しめる。美しい古典バレエの作品でも、ヒューストン・バレエならではのパワーを感じる踊りだった。男性ダンサーの群舞では、迫力とスピード感も心地よかった。

 

第1幕後半での代表格であるペザント(農民)の踊りは通常のパ・ド・ドゥではなく、男女6名のパ・ド・シスでの構成でより豪華になっていたが、ここでは日本人の活躍が目立った。ソリストのアクリ士門と藤原青依だ。アクリの高いジャンプ力と安定したテクニックは力強さと大きな動きで場を沸かせた。藤原はその手足の長さを生かし、かわいらしさの中にも上品な表現力ある踊りを見せた。

 

また、第1幕に華を添える花嫁のお祝いのシーンで花嫁役を務めたのも日本人のソリスト徳 彩也子だ。徳は非常に高い身体能力と演技力を併せ持つダンサーだ。徳のグランパディシャの高さには圧巻。また、最後のジゼルが息を引き取る時にも舞台全体を悲しみのシーンへ母ベルタとともに引っ張っていく演技に、会場の空気が一気に変わるほどであった。

 

 

スタントンの『ジゼル』のみどころの一つは、ジゼルの信じてきた愛に対する絶望と悲しみに暮れて狂乱するシーンだろう。ここでは、他の『ジゼル』作品ではあまり聞くことのできないオリジナルの楽曲も使われていて、通常の狂乱シーンよりも長く、このジゼルの心の動きを十分に表現できる演出となっていた。加治屋の演技力の高さはこの演出と相まって一層の緊張感高まるシーンを繰り広げた。また、ジゼルが命を引き取る前に、第1幕にも霊であるウィリがサッと現れ、死を連想させて二幕へ誘うスタントンの演出が他にはなく面白い。

 

 第2幕はガラっと印象が変わり、「数か月後、真夜中の森の中」が演じられる。シンプルな木製の十字架には、Giselleと名が刻まれていた。森の舞台セットは奥行き感をとても感じ、どこまでも続く深い森の様子が表現され、素晴らしかった。

 

両袖からウィリたちが静かに登場し、辺り一面真っ暗だった森の中に精霊の白が美しく静かに浮かび上がった第二幕。衣裳のベールは計算しつくされた工夫がされているのだろうか、動きに合わせて羽のように丸く見え、ダンサーの振付に合わせてさらに繊細な雰囲気を舞台にプラスしていた。

 

 

数多くある『ジゼル』の舞台だが、スタントン版『ジゼル』は、音楽の使い方に始まり役一人一人に対する振付、フォーメーション含む構成などの工夫により、ストーリーがとても分かりやすいように創造されているように感じた。

 

 

7月12日(土)には名古屋での『オープニング ・ガラ』と『ジゼル』の公演が開催される。是非、来日中にヒューストン・バレエが誇る素晴らしい公演を観てほしい。

 

 

 

<写真>

※1枚目 東京文化会館大ホール内ホワイエにて掲示されたダンサーのサイン入り公演ボード。

※舞台写真   提供:光藍社

 

 

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ダンスカンパニーDAZZLE

 

1996 年に結成、「すべてのカテゴリーに属し、属さない眩さ」をスローガンに掲げ、独創性に富んだ作品を生み出し

続けるダンスカンパニー。ストリートダンスとコンテポラリーダンスを融合した世界で唯一のスタイルを追求し、映画・コミック・ゲームなどのジャパニーズカルチャーの要素を積極的に取り込んだ物語性の強い作品を創り上げている。一部のダンス好きのみならず、より多くの人々にダンスを届け、楽しんでいただけるよう、先鋭的な手法を駆使してその可能性を広げ、「開かれたダンス」の実現を常に目指している。ダンスエンターテインメントの日本一を決める「Legend Tokyo(2011)」にて優勝した他、代表作『花ト囮』は演劇祭「グリーンフェスタ」にてグランプリ・若手演出家コンクール優秀賞を受賞するなど、ダンスのみならず演劇界からも高い評価を獲得。海外公演も積極的に行い、「SAMJOKOアジア演劇祭(2010 韓国)」や世界三大演劇祭の一つである「シビウ国際演劇祭(2011 ルーマニア)」、中東最大の演劇祭である「ファジル国際演劇祭(2012 イラン)」で上演。スタンディングオベーションを巻き起こし、「ファジル国際演劇祭」では審査員特別賞・舞台美術賞の二冠を受賞。2015年には、歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎氏演出舞台に主演。2025年には国籍や言語、障害の有無など、多様な背景を持つ国内外11の地域から集結した100名を超えるダンサーが出演する舞台「Breakthrough Journey」(2021 大阪, 2022 東京)を大阪・関西万博にて再演した。

2017年以降は主に、ロンドン・ニューヨークなどで人気を博しているイマーシブシアター(体験型公演)の制作に取り組み、日本での先駆的な存在として多数の作品を発表。廃病院を舞台とした「Touch the Dark」(2017)、マルチエンディングを導入した「SHELTER」(2019)の他、ワンピースタワーとのコラボレーション作品「時の箱が開く時」 (2018)、京都南座で開催した松竹主催「サクラヒメ」(2020)など大型の作品や、オンラインからスタートし「旅するイマーシブシアター」となった「百物語」シリーズなどを制作。そして 2021年6月に日本初の常設型イマーシブシアター「Venusof TOKYO」を開業(お台場ヴィーナスフォートの閉館に伴い 2022年3月27日に閉業)。厳しい世情のなか1日も休業することなく、10か月間(全877公演)毎日上演し、あらゆる業界から注目を集めた。

その後も2023年4月〜、文学をテーマにした常設型イマーシブシアター「Lost in the pages」(上野・2024年6月閉業)、2023年9月〜イマーシブシアター「Unseen you」(白金・2025年5月閉業)、2024年10月〜東京駅近傍にイマーシブエクスペリエンス「Anemoia Tokyo」をオープン(2026年3月15日閉業)するなど精力的に作品を制作。そして2026年3月20日からは、アーティスト蜷川実花と大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーもつとめた宮田裕章をはじめ、各分野のスペシャリストが集うクリエイティブチームEiMと共に、全国天満宮総本社・北野天満宮を舞台にイマーシブシアター「花宵の大茶会」が開幕する(2026年5月24日まで)。

◆◆◆公演情報◆◆◆

2022年の初来日公演で鮮烈な印象を残したヒューストン・バレエが待望の再来日!

ヒューストン・バレエ

『オープニング・ガラ』/『ジゼル』

 

『オープニング・ガラ』

  星屑のように散りばめられた高難度のステップと音楽の融合。スタントン・ウェルチの才華溢れるダンスの銀河! 

  日程 2025年7月10日(木)19:00開演(18:15開場)

  会場 愛知県芸術劇場 大ホール

 

 『ジゼル』

  壮麗な舞台美術と充実した舞踊シーンで紡ぐ愛と裏切り、そして赦しの物語。

 

  日程 2025年7月12日(土)13:00開演(12:15開場)

   会場 愛知県芸術劇場 大ホール

 

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