◆◆◆ 第1章 ◆◆◆ 

『諦めなかった先にあったもの』 

NEW 4.28  更新

 1971年、6歳の時に初めて観たバレエ「白鳥の湖」。今、正に悲しい出来事の中にある「ボリショイ、レニングラード合同公演日本ツアー」だった。この世に生まれてたったの6年しか経っていない少女の目に、そのあまりに美しい夢の世界が彼女の人生を大きく変える事になる程衝撃的に映った事は言うまでもない。

 

その日を境に毎日「バレエを習わせて」と母にお願いするも決して叶う事はなく、気がつけば4年もの間日課のようにお願いし続けたある日…「あなたには根負けしたわ」と母からの言葉。諦めかけていた胸の奥に押し込めていた思いが爆発した瞬間だった。

 

この日の週末、逸る気持ちを抑えながら松山バレエ学校の門を叩く!

扉を開けると今まで嗅いだ事のない素敵な匂いと共に聞こえてきたトウシューズの響き...そして次の公演に向けてであろうリハーサルをしていた松山バレエ団の美しいバレリーナ達の姿にただただ呆然と見とれていた…

 

母はしきりに稽古着姿の男性と話をしていて、その表情は困惑しているように見えた。話が終わり「帰りましょう」と母の表情で何か嫌な予感、今考えれば当然だったのかも知れない事実を突き付けられた。

当時10歳、身長も既に150㎝近くまでに成長していた私に入学できるクラスは無く…(その15年後に「バレエの神様っていたのだ‼」と確信するような驚く出来事が…)結論は厳しいものだった。

 

肩を落としてバレエ団を出ようとした時、「待って下さい、住所を見たらお宅のそばで私、お稽古場を開いたばかりです。よろしければバレエ学校に通えるようになるまで習いに来ませんか?」

リハーサル途中に走って来た額の汗がキラキラに輝いていて「なんて美しいバレリーナ」...

絶望から一気に光を与えてくれた私にとって最初の先生との出会いだった。

ただ、近所というには少々遠く、バスと電車に乗り継いで1時間、それでもお稽古日を心待ちにする日々だった。

 

諦めなかった先にあったもの…それは、夢への第1歩だった。

☞第2章へ続く(5月配信予定)

 

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