バレエ公演レポート

NEW 2023.9.23  更新

~感動の舞台~

バレエ公演REPORT


 

バレエウィークゲネプロ取材レポート‼

いち早く皆様に舞台の魅力をお伝えします。

 

あの絵本の世界がついにバレエに!

バレエ「えんとつ町のプペル」

 

2023.9.23-24

@新宿文化センター 大ホール

 

 

 

 映画化で大きな反響を呼んだキングコング西野亮廣さん原作の絵本『えんとつ町のプペル』がこの度バレエとなり、9月23日、24日に新宿文化センターにて上演されます。

製作総指揮関 巴瑠花さん、振付宝満直也さんの元、主演のルビッチ役には竹田仁美さん(元NBAバレエ団プリンシパル)、プペル役には風間自然さん(フリーランス)を迎え、その他様々なバレエ団からのメンバーや子役含めオーディションで集まったダンサーたち総勢約70人が一丸となった大舞台となっています。

 

 全二幕の構成となっているこの舞台は、えんとつ町特有のどんよりとした煙に覆われた空の下、カラフルな建物に灯された窓の明かりや街灯が煌びやかに輝く可愛らしい街の風景から始まりました。まるで原作の絵本を切り抜いたような世界が目の前で繰り広げられ、今後のストーリーの流れに胸を躍らせるような気分にさせる舞台美術です。そしてさらに、オーケストラの生演奏が織りなす荘厳でありながら可愛らしい音楽も相まって、観客の心を一気にえんとつ町の中に引き込みます。

 

 一幕では、街の子供たちのハロウィンパーティーのシーンが軽快で華やかに演じられ、その後のプぺルとルビッチの出会いのシーンは、とてもコミカルで楽しいパ ド ドゥとなっていました。風間さん演じるプぺルは全身を大きく使ったコンテンポラリーダンスの要素を感じさせるような動きが印象的で、台詞がないにもかかわらずプぺルの心の中の思いがひしひしと伝わってくる表現力が素晴らしく、そしてルビッチ役の竹田さんは、少年らしい、若々しくて軽快な踊りと演技がとても好印象でした。

 

また、舞台前方で繰り広げられるダンスシーンの後ろでは、えんとつ掃除屋さんが掃除をし続けているなど、動き続ける背景と相まった舞台構成に、この作品を舞台全体で生き生きと描くこだわりの演出を感じさせました。舞台の隅々までいろいろな仕掛けを楽しめるところが、この作品を総合芸術である「バレエ」として創り出した時の魅力のようにも思えました。

一幕最後は大きな灰色の布を使ったシーンがあり、舞台全体を一気に灰色の煙で満たす仕掛けが圧巻でした。

 

 二幕幕開けのえんとつ掃除屋さんのシーンでは、大きなブラシを持って踊る曲がユニークで、この物語の世界観を改めて感じさせる曲となっていました。その後、ルビッチが仲間にいじめられたことにより、仲良しのプぺルとルビッチは一度離れ離れとなり、そしてプぺルの心臓にルビッチの探していたペンダントが見つかる物語のキーをなすシーンでは、プぺルの心の中の葛藤を群舞とともに激しいダンスで描き出し、そして空から漏れてくる光と相まって幻想的で、とても見ごたえあるダンスシーンとなっていました。

 

 

 最後に二人が一緒に星を探しに行くシーンは、クライマックスにふさわしいカラフルで素敵な舞台の仕掛けがされていました。終盤ではコールドバレエのシーンもあり、バレエの舞台ならではの華やかさで幕を閉じました。

 

振付の面白さはもちろんのこと、今回のバレエ版プぺルでは、衣裳も鑑賞の楽しみの一つとなっていました。絵本の世界がそのまま現実となったような空間で、細部まで描かれた作品の要素を存分に楽しめる舞台でした。

 

 

 

 【公演詳細】

日時:2023 年 9 月 23 日(土)14:00/18:00

                   9月 24 日(日)14:00

会場:新宿文化センター 大ホール (東京都新宿区新宿6丁目14­1)

 

原作・脚本:⻄野 亮廣

制作総指揮・演出:関 巴瑠花

振付:宝満 直也

音楽監督・指揮:冨田 実里

管弦楽団:ロイヤルチェンバーオーケストラ

 

【キャスト】

プペル:風間自然

ルビッチ:竹田仁美

スコップ:八幡顕光

レベッカ:白石あゆ美

キャシー:勅使河原綾乃(NBA バレエ団)

ルイーズ:土田明日香(バレエシャンブルウエスト)

街灯:岡博美(東京シティバレエ団)・盆子原美奈 他

えんとつ掃除屋:牧村直樹(谷桃子バレエ団)・岡田晃明(東京シティバレエ団) 他

ほか多くのダンサーの皆さま

 

主催:バレエ「えんとつ町のプペル」製作委員会

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